Fragrance (香料)

香料化学(基礎編-1) ~香りって何で出来てるの??~

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シゲ

こんにちは!! 香料研究者のシゲです。
今回は、香料とは何かと香料の種類について説明します。

香料って何??

香料とは、『香りを付与する物質』を総称したものです。
香りを付与する香料は全て化学物質で構成されています。皆さんに馴染みがあるエッセンシャルオイルも香水もこの香りを付与する化学物質が集まって出来ているのです。

一般的に心地良く感じる際には「匂い」や「香り」、そして不快に感じる際には「臭い」と表現します。料理を食べた時の「美味しい」と「不味い」と似てますね。
そして、香料には大きく分けてフレーバーとフレグランスの2種類が存在します。

  • フレーバー (Flavor) : 食品の香りと味の一部を付与する食品添加物
  • フレグランス (Fragrance) : 食品以外のモノに香りを付ける香粧品香料

フレーバーを使用している身近な商品としては、「ハーゲンダッツ」や「スターバックス」があります。どちらも美味しいですよね!!☺️

フレグランスを使用している身近な商品としては、洗剤や柔軟剤といったハウスホールド製品やシャンプーやボディケア製品があります。もちろんエッセンシャルオイルや香水もフレグランスに含まれています。

製品に使うフレーバーやフレグランスを創作することを「処方を作る」調香と呼びます。この調香を行う専門職を「調香師」といい、特にフレーバーを調香する調香師をフレーバーリスト(Flavorist)、フレグランスを調香する調香師を『パフューマー(Perfumer)』と呼びます。

香料の種類

次に、調香で使われる香料の種類について説明します。
フレーバー、フレグランス共に『天然香料』『合成香料』『調合香料』の3種類があります。そして、3種類の中には匂いの種類や異なる化学物質が含まれており、『香料素材』『パレット(Palette)』と呼ばれます。これは、調香師は芸術家に例えられることが多く、調香師が使う香料素材を絵の具のパレットと例えたことに由来しているようです。では、それぞれの特徴について見ていきましょう♪

天然香料 (Natural)

天然香料は、様々な植物や一部の動物から抽出された香料のことです。現在では、動物愛護の観点から動物から抽出された香料は使用されることはなく、ほとんどは植物より抽出された精油(エッセンシャルオイル)や樹脂(レジン)です。
精油(エッセンシャルオイル)の抽出方法としては水蒸気蒸留が広く一般的に使用されているが、熱に対して不安定な精油に関しては柑橘類のように果皮を圧搾したり、花の精油のように有機溶媒で抽出する方法も用いられる。近年では、熱をかけずに香り成分を抽出する技術として「超臨界抽出」にも注目が集まっている。
植物由来の天然香料は、素晴らしい香りを持つが課題も多いのが実情です。

天然香料の欠点
  • 非常に高価 (例 : ブルガリア産ローズオイルは数百万円/kg)
  • 採油率が悪い (花びら5000kgから精油1kgが取れるかどうか)
  • 産地やその年の気候によって品質や収穫量が変わる
  • 収穫の時期が限られている

一方で、動物から得られる天然香料としてはマッコウクジラの腸内で出来る結石から取れる竜涎香(アンバーグリス)、ジャコウジカの香嚢から取れる麝香 (ムスク) 、ビーバーの香嚢から取れる海狸香(カストリウム)、ジャコウネコの香嚢から取れる霊猫香(シベット)があるが現在では動物愛護の観点からほとんど使用されることはなくなり、合成香料によって代替されている。
竜涎香(アンバーグリス)のみはクジラを傷つけずとも偶然に体内から排出された結石から香りを取ることが可能で、時折だが海岸に打ち上げられたアンバーグリスの結石が発見されたというニュースが報道されることがあります。

天然香料は精油(エッセンシャルオイル)として、我々の生活にも身近な存在です。オレンジやライムといった柑橘系、ローズやジャスミンといったフローラル系が有名ですがティーツリーやラベンダーなど様々な種類があり、香りを楽しむことが出来ます。精油(エッセンシャルオイル)は種類も多く、産地によっても香りが違ってくるので色々な精油を試してみましょう⭐️

合成香料 (Aroma Chemical)

合成香料は、天然香料中の成分や天然には存在しないが香料として有用な化合物を化学的に合成・精製したものです。化学的な有機合成で作られることが多く、『合成香料』『アロマケミカル(Aroma Chemical)』と呼ばれます。アロマケミカルは、石油化学工業やパルプ工業などから安価かつ大量に得られるエチレンやアセチレン、または精油から分離されるテルペン化合物を原料として化学反応で製造されます。現在の市場で流通している合成香料の多くは化学反応を利用していますが、近年は発酵など微生物を利用したバイオ技術を利用した製造法の研究開発も盛んにおこなわれています。
フレグランス、フレーバーの両用途では天然中に存在するものと化学的に同一である化合物はネイチャーアイデンティカル(Natural Identical)、天然中に見出されていない化合物をアーティフィシャル(Artificial)と呼ばれ区別されることがあります。

合成香料の利点
  • 天然香料と比べて安価
  • 大量造することが可能で、品質が安定である
  • 分子設計することで新しい香料化合物を開発することが出来る

アロマケミカルは香水や製品用香料に非常に多く使用される重要な成分が多いですし、各香料会社が香りを差別化するために研究開発を積極的に進めていますので別の記事でまた詳細を説明します!!

調合香料 (Base)

調合香料は製品用に使用する「フレーバー」、「フレグランス」を表すことが多いです。しかしながら、原料として使用する『調合ベース(Base)』もあります。これは、各香料会社が天然香料と合成香料を組み合わせて調香した調合ベースを製品用香料に原料として利用され、製品用調合香料の香りをより複雑で価値あるものへと変えてくれます。
調合ベースは、各香料会社がオリジナルに開発している場合が多く、市場に流通していない場合もあります。製品用香料と同様に、各香料会社の香りの個性や感性が表現されています。

まとめ

香料とは『香りを付与する化学物質の総称』

香料 (Flavor, Fragrance)
  • フレーバー : 食品の香りと味の一部を付与する食品添加物
  • フレグランス : 食品以外のモノに香りを付ける香粧品香料
  • 天然香料 (Natural) : 様々な植物から抽出された香料
  • 合成香料 (Chemical) : 化学的手法で作られる香料化合物
  • 調合香料 (Base) : 天然香料と合成香料を調合した香料
シゲ

どうでしたか?? 難しかったでしょうか??
まずは香料とはどういったものなのか、どんな種類があるのかをイメージ出来れば大丈夫です。
順々に一緒に勉強していきましょう♪

参考文献

中島基貴 偏著 『香料と調香の基礎知識』産業図書 1995年
長谷川香料株式会社 著 『香料の科学』 講談社 2013年

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